旬のお魚かわら版
No.24 ハナサキガニ
2022.02.16旬のお魚かわら版 No.24(2021年8月31日)
今回は、今盛んに漁が行われている「ハナサキガニ」についてです。
このカニは、北海道、とくに水揚げ産地である根室や釧路など道東地方の名産ですが、全国的にはなかなかお目にかかれません。
名前にカニとありますが、分類上は十脚目異尾下目タラバガニ科タラバガニ属で、タラバガニと同じくヤドカリ(異尾類)の仲間に分類されます。しかし、タラバガニほどは知名度がありません。因みにケガニやズワイガニは、短尾下目でカニの仲間になります。
甲羅は逆ハート型で、甲・脚に多数のトゲがあり、写真でも分かるように触ったら痛そうですね!ケガニやズワイは、鋏脚(きょうきゃく)を入れて10本の脚ですが、ハナサキやタラバは甲羅の方からみると8本にみえます。しかし、上からはみえないものの、実は腹側の下の方に小さな脚が2本あるのです。
「花咲ガニ」は、写真のように、茹でるなど加熱をすると体色が鮮やかな朱色に変わることから名前がついたといわれています。また根室花咲港が水揚げ地であることからともいわれています。
北海道以外の地方で余り聞かないのは、一つには生息域が襟裳岬から納沙布岬にかけての太平洋側と根室半島北側のオホーツク海にしか分布していないからかもしれません。それと、カニ類は総じて冬場が旬といわれていますが、ハナサキガニは夏から秋にかけてが漁期であることや漁獲量自体も少ないことも影響していると思います。
道東地方では7月10日から始まり、今年は12日に花咲港に初水揚げがあったようです。漁期は9月20日まで続きますが、全体の漁獲枠は100トン(太平洋側とオホーツク海側の合計)にも満たないので、その少なさが全国的な知名度の低さにつながっている可能性もあります。
ただ、現在ではネット通販のサイトをみると真っ赤な画像とともにハナサキガニが並んでいます。機会があったら、チャレンジしてみてください!
また、北海道の郷土料理「鉄砲汁」(カニの味噌汁)もハナサキガニの美味しい食べ方の一つですが、こちらの方もさまざまな種類の缶詰商品が出ていて通販等で購入できます。
そういえば随分昔に道東出身の人にとっておきの食べ方=おもてなし聞いたことがあります。現地では客人をハナサキガニでもてなすときは、来訪する時間を見計らって茹でて出すのだそうです。
これが最高のおもてなしであり、最も美味しいハナサキガニの唯一の食べ方だそうです。
旬のお魚かわら版
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