旬のお魚かわら版
No.23 スズキ
2021.08.16旬のお魚かわら版 No.23(2021年8月16日)
今回は、夏の魚の代表ともいえる「スズキ」についてです。
国内の魚種は非常に多いのですが、中でもスズキ目に属するグループが群を抜いて多いのです。食用魚の多くはこのスズキ目に属しているといわれています。おなじみのアジやサバ、マグロ、カツオ、タイも全てスズキ目です。その特徴は下の写真でもわかるように鰭(ひれ)が発達しており、スズキの姿は魚類の標準型といわれています。
若魚の時に背びれと背に黒い小斑点があり、成魚になると消えるものとそのままの残るものがあるそうです。
スズキは数ある出世魚(成長過程で名前が変わる魚)の中でも代表的な魚です。その呼び名はハクラ、セイゴ、フッコ、スズキが一般的ですが、地方によって呼び名が変わります。他の代表的な出世魚には、よく知られているようにボラ、ブリなどもあります。
スズキは総じて内湾や河口域を生息域としており、サバやサンマのような大きな回遊をしません。ですから、産卵も外海に面した岩礁域で行い、小さい時には沿岸の藻場で過ごします。漁法をみると内湾が主漁場とあって、様々な網や釣りにより漁獲されます。またレジャーフィッシングでも、引きが強いこともあって、シーバスの名で釣り人にも大人気の魚ですね。
さて上図はスズキの国内生産量を表したものですが、約70年の間に2回の山があります。これをみると今はやや下降気味に推移しているのが分かります。海の環境汚染も最悪だった昭和年代に比べ改善されているので、「スズキ復活」を望みたいものです。
8月に入って豊洲市場では、1日3-11トンの入荷で日によるバラツキがありますが、コンスタントに入荷はみられます。市況は1㎏当たり2000-500円といったところです。街のスーパーではいつもあるわけではないですが、専門店では並んでいることがあると思います。街では殆どが切り身で提供されていますが、出来れば丸で買ったほうが色々な観察もできます。
現在はコロナ禍で開催されていませんが、一昨年の豊海おさかなミュージアム・東京湾のおさかな教室ではスズキも並べられていましたね。身は白身で、江戸時代は高級魚といわれており、漁場も近く味も良いので東京でも人気の高い魚でした。高度経済成長で東京湾が汚れていた時代は一時敬遠されていましたが、今は復権してその価値が見直されるようになってきました。
生で良し、煮て良し、焼いて良し、揚げて良し、全てよし。低脂肪・高たんぱく質で味も良し。機会があったら、是非手に取って食べてみてください!
旬のお魚かわら版
「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!