旬のお魚かわら版
No.108 カサゴ
2025.02.28旬のお魚かわら版 No.108(2025年2月28日)
今回は釣り人にとって憧れの魚の一つである「カサゴ」です(写真1)。
カサゴはスズキ目メバル科カサゴ属に分類されますが、同じカサゴ属には、形態もよく似ているウッカリカサゴという剽軽(ひょうきん)な名前を持つ仲間もいます(写真2)。
カサゴは、全てが下の写真のような色と言うわけではなく、微妙に赤が強かったり黒っぽい個体があったりと様々です。また、体表に散らばる白い斑紋は、腹側に多く背中側はまばらですが、それもかなり個体差があります。眼の部分も色々な画像をみる限りにおいてはかなり個性があるようにみえます。
カサゴは東京や神奈川などで多く呼ばれていますが、全国では様々な呼び名があります。中でも、九州各地で呼ばれている「アラカブ」などはかなり一般的になっているのではないでしょうか?
名の由来については、体表の模様が、瘡蓋(かさぶた)ができ皮膚病にかかったようにみえるためという説があります。ですので、漢字では「瘡魚」とも書き、一般的な漢字名の「笠子」とはイメージ的に大きな落差があるように感じられます。


カサゴの生息域は、国内では北海道から九州南岸の太平洋沿岸、同じく北海道から日本海・東シナ海の沿岸、瀬戸内海、八丈島の岩礁域などです。また海外では、朝鮮半島南岸・東岸、済州島、渤海、南シナ海沿岸、台湾沿岸でも生息しているようです。
生息場所は、潮干帯から水深80mほどの岩礁域や藻場などです。沿岸型の魚種であまり沖合には生息していないようですが、住んでいる場所により体色に特徴があるようで、深いところに住んでいるものは敵から身を守るために鮮やかな赤色、一方で浅い場所に住んでいるものは岩や海藻の色に近い褐色をしているのが多いそうです。
漁業生産については統計が整備・公表されていないので正確な数字は把握できませんが、カサゴは人気の割には漁獲量が少ないと思われます。またカサゴ狙いの漁業者も少なくなっているともいわれていて、漁獲の多い県でも年間100トンを超える県は多くはありません。漁法も沿岸漁業の釣り、延縄、刺網が主力ですので一気に大量に漁獲する漁法ではなく、カサゴを狙う漁業者が少なくなれば必然的に漁獲量も少なくなります。

上のグラフは東京都中央卸売市場におけるカサゴの取扱状況(2002~2024年)です。
近年は比較的安定した入荷量がみられているカサゴですが、2006~2008年にかけてはかなり入荷が少ないのが分かります。それ以降は入荷の回復がみられ年間100トンを超える年が9年程続きました。そして新型コロナ感染症が始まった2020年以降は再び入荷が減少しました。
価格は2000年代は概ね1300~1500円/kg前後の比較的高値推移でしたが、その後は1200円を下回る年も多く、2020年はコロナ禍で外食産業等の需要が急減し、連動して価格も更に下落したのがみてとれます。また2020~2021年の入荷の減少も、コロナによる需要減少を受けて生産現場でカサゴ狙いの漁業を一時的に止めていた、という事情があるのかもしれません。
さて、カサゴとくれば比較対照されるのがメバルです。
東京都中央卸売市場におけるカサゴの入荷量をメバルと比べると、メバルのほうが多く入荷しています。年単位でみるとメバルがカサゴの3~4倍の入荷量となっていますので、数量ではメバルがカサゴを圧倒しています。
カサゴは刺身を始め、煮ても焼いても揚げてもなんでも良しですが、筆者の浅い食体験でいえば、博多で食べた「唐揚げ」が絶品だった記憶があります。
機会があったら他の魚を差し置いても「カサゴ」を!!!


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