旬のお魚かわら版

No.81 ブリ

2024.01.15

旬のお魚かわら版 No.81(2024年1月15日)


 今年最初の瓦版になりますが、元旦から能登半島一帯を襲った地震により、石川県を中心に甚大な被害が拡がっています。被災された皆様にはお見舞いを申し上げるとともに1日も早く日常生活を取り戻されんことを祈っています。


 今回は比較的安定した漁獲が続いているブリです。

 ブリは東シナ海から北海道まで我が国周辺水域と朝鮮半島東岸域に生息しています。ですので、北海道から九州までの沿岸で漁がみられます。産卵域は東シナ海の陸棚縁辺部から、日本海では能登半島以西、太平洋側では伊豆半島以西で主に西の海域で行われています。

ブリ

 ブリによく似た仲間にヒラマサがあります。

 違いは、ブリは胸鰭(びれ)と腹鰭が同じ大きさですが、ヒラマサは大きさが違います。また顎の背後角がブリは角ばっていますが、ヒラマサは丸みがかっています。

 小売店では切り身で売られていることが多いので、体全体を見る機会はあまり無いと思いますが、市場に行く機会でもあれば、トライアルしてみてください。

 富山湾に面している富山、石川の両県では市場ももちろん震災の影響を受けてはいますが、様々な制約の中でセリが行われています。「ひみ寒ブリ」で知られている氷見漁港でも、昨年12月23日に開始宣言が出され現在盛んに水揚げが行われています。開始が少し遅れた(2022年は11月26日開始)ので非常に心配されましたが、出されてからは順調に水揚げが続き、1月15日現在32,968本の水揚で前年の21,740本、前々年の11,013本を既に上回っています。今、現地では過去10年で最多の37,593本を水揚げした2020年度を上回るかどうかが注目されています。

 「ひみ寒ブリ」は、開始宣言が出された後、1)富山湾の定置網で漁獲され、2)氷見漁港で競られ、3)6kg以上の重さがある、ことが条件になっています。この他、鮮度を保つために船上で締める作業などを行い「氷見ブランド」維持の努力を重ねています。

ブリ生産量
出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計年報」

 上のグラフは全国並びに北海道におけるブリ類(※)の生産量の推移(1956~2022年;北海道のみ:2003~2022年)です。

 ブリ類は、2000年以前は4~6万トンの生産量で推移し、コンスタントに15万トン前後の収獲がある養殖ブリ類に押されていました。もちろん「ひみ寒ぶり」のように冬場の定置網などで漁獲される脂の乗ったブリは養殖ブリを凌駕する貴重な天然物として重宝されてはいましたが。

 しかし、2000年代に入って日本海を始め各地で徐々に漁獲を伸ばし、2010年ごろには10万トンを超える年も恒常的にみられるようになりました。この頃はまき網での漁獲が主力でしたが、その後、魚群の分布が北海道近海にも拡大するようになり、最近では北海道全道の定置網で漁獲がみられるようになりました。2013年に初めて1万トンを突破し、それ以降1万トンを超える年が6回あり、今では北海道は国内でも有数のブリの産地となっています。

 一方、定置網で漁獲される秋サケはブリに押されたわけでもないでしょうが、逆に大不振となっています。北海道で漁獲されるブリは、大半が定置網による漁獲で、漁獲量の多い他県(千葉県、長崎県、島根県等)がまき網での漁獲が多いのと比べて違いが顕著です。

※「ブリ類」にはブリ以外にヒラマサやカンパチ等も含まれます。

ブリ購入金額
出典:総務省「家計調査年報」

 さて、上のグラフは総務省の家計調査(二人以上世帯を対象)に基づき、ブリの年間の購入金額を地域別に分けて表したものです。

 一般に水産物消費は、やはり水揚産地、若しくは産地に隣接している地域で多いのですが、ブリもご多分に漏れずそうした傾向がみられます。例えば、過去20年のデータで19年トップの座を占めている北陸地域が代表的なものといえるでしょう。一方で、現在漁獲トップの座を争っている北海道をみてみると、この20年間で常に沖縄と「びり争い」をしています。北海道が漁獲が急増しているのが2011年頃からですが、上のグラフでみると一時期、沖縄を若干離した程度で未だトップの北陸とは5倍位の差があります。

 北海道の人達と話すと「北海道にはブリの食文化がない」と随分聞かされました。この家計調査のデータからみても差は縮んできているものの、まだ北海道ではブリがこの地域に根付いているとは言い難いようです。

 とは言うものの、最近は「北海道産ブリ」の品質評価も高まってきているとともに、価格も上昇してきています。また徐々にブリの加工レベルも上がってきており、「ふるさと納税」の返礼品を始め、様々な用途に利用されるようになってきています。しかも、何といっても秋から冬場にかけての「北海道産ブリ」は、「富山湾ブリ」にも匹敵するとも言われています。

 主産地である北陸地方で大きな漁業被害が出ていますが、寒ブリのシーズンはしばらく続きます。特に大きな被害のあった能登地域でも一部では定置網漁が再開し、寒ブリの出荷が始まっているようです。北海道産にしろ北陸産にしろスーパーで寒ブリを見かけましたら、ぜひ産地の皆さんの頑張りに思いを馳せてお買い求めいただけたらと思います。

ブリ大根
ブリイラスト
イラスト:N.HIKARI
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「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!

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