旬のお魚かわら版

No.53 トヤマエビ

2022.12.9

旬のお魚かわら版 No.53(2022年11月16日)


今回は、今まで取り上げたことのないエビ類の中の「トヤマエビ」です。

トヤマエビ
資料:京都府立農林水産技術センター海洋センター「丹後の海の生き物」

  トヤマエビはタラバエビ科に属し、通称「ボタンエビ」で流通している人気のエビですが 実は、同じタラバエビ科に正式名称でボタンエビという別種のエビがいるのです。
 正真正銘のボタンエビは日本の太平洋海域に生息していますが、トヤマエビは本州以北の日本海と 北海道沖に生息しています。かつて富山湾で沢山漁獲されていて、標本採集地も富山であったことから トヤマエビと命名されたようです。 現在では、元祖富山県よりも北海道で最も多く漁獲されています。なお、タラバエビ科には、他にもホッコクアカエビ(通称:甘エビ、南蛮エビ)やホッカイエビ (通称:北海シマエビ)などの食用種があります。


 タラバエビ科のエビ類は総じて雌雄同体で、生まれた時はオスで成熟するとメスに性転換します。 トヤマエビはタラバエビ科の中では比較的大型で、胴体に赤褐色の横縞(しま)があります。 ホッコクアカエビやホッカイエビに比べると大きく、寿命は8~10歳位といわれています。
 トヤマエビは底曳網やエビかご漁で漁獲されますが、ホッカイエビより多く、 ホッコクアカエビより漁獲は少ない関係にあります。
 生の姿をみると、深海性のトヤマエビやホッコクアカエビは赤い色をしていますが、 浅海性のホッカイエビは、海底にはえる海草であるアマモ場に生息するため保護色として黄土色や草色 をしていますが、茹でると鮮やかな朱色に変わります。

エビ類の生産量と価格の推移
資料:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構「マリンネット北海道」

 上の図は北海道における3種類のエビの年別生産量と価格の推移です。
 漁獲の最も少ないホッカイエビが、価格的にも最も高位に位置しています。 次にトヤマエビ、ホッコクアカエビと続いていますが、生産量の多寡が価格に 影響を与えているように見受けられます。

 味はそれぞれ独特ですが、ホッカイエビは茹でると甘みが増し濃厚な味に変わります。 ホッコクアカエビは主に生食で、トヤマエビは、生でも火を入れても良し、頭からも 濃厚な出汁がでます。 味比較については、何種類かのエビを並べて味見するとはっきりと違いが分かります。
 ホッカイエビは出回りも少ないので入手が難しいのですが、トヤマエビやホッコクアカエビは 年末に向けて需要も高まります。 是非エビ比べにチャレンジしてみてください!

ホッカイエビ
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「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!

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