旬のお魚かわら版

No.51 メバチマグロ

2022.10.18

旬のお魚かわら版 No.51(2022年10月15日)


 今回は、これから本番を迎える「メバチマグロ」です。この瓦版でマグロ類を取りあげるのはクロマグロ(NO39 )に続いて2回目になりますね。

メバチマグロ
出典:国立研究開発法人 水産研究・教育機構 国際漁業資源の現況より

 メバチ(目鉢)と言うくらいですから、目がぱっちり大きいのが特徴で、他のマグロ類と違っています。メバチの寿命は10-15年程度とされており、20年程度とされているクロマグロより短命です。メバチは、三大洋(太平洋、大西洋、インド洋)の熱帯域から温帯域にかけて広く分布しています。
 今回取り上げたのは、宮城県塩竈(しおがま)市のブランドマグロ「三陸塩竈ひがしもの」の時期になり、魚も脂が乗ってきていると聞いたからです。「三陸塩竈ひがしもの」とは、三陸東沖で、秋口から冬場(9月~12月)にかけてマグロ延縄(はえなわ)漁船によって漁獲され、塩釜魚市場に水揚げされた40kg以上のメバチマグロのうち、「鮮度」「色つや」「脂のり」「うまみ」に優れ、塩釜にいる日本一の目利き人(仲買人)の目にかなったマグロのみをブランド認定したものです。


 生鮮のメバチは、漁場や漁法、漁獲時期、その部位等にもよりますが、人によってはクロマグロ以上という評価をする人もいるのです。あの独特のもちもち感は冷凍のメバチにはないもので、特に宮城県の人はメバチといえば概ね生鮮のメバチを指しています。
 ところで、メバチマグロの資源状況はどうなっているでしょうか?塩釜に水揚げされるメバチマグロが生息している中西部太平洋海域の資源状況の水準は中位で、その動向は横ばいといわれています。国内での最近5年間(2016~2020年)の漁獲量は、1.5万~1.9万トンで、平均1.7万トンとなっています。

メバチの年別・月別水揚げ量と平均価格の推移
資料:おさかな広場(JAFIC)より

 この表をみると過去5年間は比較的順調に水揚げされていて、特に昨年は9月以降の水揚も近年では最高の水揚になり、魚価もコロナ禍にもかかわらず大きな下げもなく安定した動きでした。
 しかし今年は出足不調で9月段階で昨年の半分の水揚に終わっています。「三陸塩竈ひがしもの」の水揚は、9月15日から始まり、10月13日現在2335本となっています。漁は残り1か月半が勝負時です。1年で最大の需要期である年末に向けて、漁の挽回を期待したいですね!

メバチマグロのブロック
資料:塩釜魚市場買受人協同組合HP

 上の写真は、「三陸塩竈ひがしもの」に認定されたメバチマグロのブロックです。色合いといい、いかにも美味しそうではないですか。食欲がそそられますね!
 さて、「三陸塩竈ひがしもの」は数も限られるため、スーパーなどで見かけることは大変まれです。しかし、私たちも今週末に注文できるチャンスが巡ってきました。
 (一財)東京水産振興会も応援している(一社)うみ・ひと・くらしネットワークが主催するZOOMによる「オンラインマルシェ」(10月22日(土)13:00~15:00)に塩竈市役所(東京水産振興会と包括連携協定を締結している)も出店し、「三陸塩竃ひがしもの」を販売されるそうです。
一般社団法人 うみ・ひと・くらしネットワーク (umihito.net)
 なかなか入手は難しく機会も少ないのでこの機会に是非どうぞ!

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