旬のお魚かわら版

No.46 タカベ

2022.10.18

旬のお魚かわら版 No.46(2022年7月30日)


 今回はイサキと並んで夏を代表する魚の一つである「タカベ」を取りあげました。
 タカベは、スズキ目タカベ科タカベ属の海水魚で、下図のような姿、形をしています。スズキ目の魚だけあって、典型的な魚の形をしているのがわかりますよね。イサキに似ていますが尻びれがイサキより長く、尾びれの付け根のあたりまで伸びています。そして、背の部分に黄色帯状(イサキは茶褐色)の縞が伸びているのが特長です。

タカベ

日本沿岸の岩礁地帯に生息していて、太平洋側では房総半島以南の沿岸、日本海側では能登半島より西側、朝鮮半島南部まで分布しています。今までの瓦版で取りあげた魚類の中ではかなり狭い海域で棲息し、大きな移動はしていないと思われ、海の温暖化等が叫ばれて以降も北の海で漁獲されたという話も聞いたことがありません。
 ただタカベは「小さな高級魚」とも呼ばれており、特に島に所縁のある人にとってはタカベやハマダイ(オナガ)等は懐かしさを感じさせる魚のようです。
 前の職場でも島所縁の方がいて、この時期になると「タカベ」が食べたいとしきりに話していたことを思いだします。とは言うものの、タカベを食べたことがない人は多いと思います。そこで下表をみてください。

タカベの年別入荷数量と平均価格の推移
資料:東京都HPより

 10年程前に比べるとかなり入荷量も少なくなっています。特にこの3年間は少なくなってきていて、1月に1トン=1000kg前後(令和3年)の入荷量にとどまっています。
 ですから、1日当たりの入荷量は、50kg位と非常に少ないことになります。日常的に普通のスーパーや専門店などでも見つけることは難しいかもです。
 さて、東京中央卸売市場に入荷されるタカベはどこから送られてきているのでしょうか?令和3年のデータをみると、11,992kgの入荷量の内9,515kgは東京都管内から出荷されたものでした。
 つまり、約8割は伊豆諸島辺りから豊洲市場に向けて出荷されていることになります。
 下図は令和3年の東京中央卸売市場でのタカベの入荷量と価格の推移です。

タカベの月別入荷量と価格(令和3年)
資料:東京都HPより

 このグラフからも6、7月に入荷のピークがあり、タカベが初夏から夏季に好まれる魚であることが分かります。価格的にも7月がピークであり、入荷が増えるものの価格は下がらず、この時期に需要が高まることを示しています。
 相対売りが殆どで、公開されている市況欄に価格が掲載されるのも稀ですが、直近の豊洲市場では、7月26日にキログラム当たり1296円でした。
 タカベはあまり刺身にして食べないといわれていて、火を通した食べ方が多いようです。私も2度ほど食べた記憶がありますが何れも塩焼きでした。随分昔のことなので、味は忘れつつあります。


 これを書いている時に新しい情報が耳に入りました。月島にあるFスーパーでは、季節になると時々タカベを販売していることがあるそうな!瓦版をみて興味を持ったらFスーパーに立ち寄ってみてください。美味しそうなタカベを発見できるかも!
 なお、「さかな丸ごと食育」ニュースレターNo.15で紹介されている「梶賀のあぶり」にもタカベを使った製品があります。
 定置網に入網したサバを始め様々な魚の幼魚を地元で100年以上続く燻製保存食で、季節の魚を薪の火で焼き煙でいぶしたものです。これからの季節、酒の肴にピッタリの製品が沢山あります。

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「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!

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