旬のお魚かわら版
No.32 ブリ
2022.04.7旬のお魚かわら版 No.32(2021年12月28日)
今回は、富山湾で旬を迎えている「ブリ」についてです。
日本近海から沖合にかけて生息し外国にはいないとされていて、その意味では日本固有の種です。稚魚から成魚までの成長段階において様々な名称を持つ出世魚と言い、その代表的な魚です。また、地方によっても呼び名が変わります。大きく成長して、最終段階のブリになるとその価値は最高に達します。
ブリにそっくりなのがヒラマサです。その見分け方は、上顎の後ろの角が四角いのがブリで、ヒラマサは丸くなっています。
ところで、養殖されたブリは周年出回っていますが、天然のブリは季節によって価値に大きな変化があります。
天然物は秋が深まったころから冬~春にかけて「旬」になります。丁度1か月前にセミナーで使用したブリは北海道産の最も旬な時期に漁獲したものです。ですから、今年食べた中でもとても美味しかったのではないでしょうか!?
さて、天然のブリの漁獲量は一体どうなっているのでしょうか?
上図は天然と養殖のブリの漁獲量を表しています。この10年程、天然のブリは急激に漁獲(10万トン程度)を伸ばしているのが分かります。
ブリはもともと西日本で養殖が盛んだったこともあり、どちらかといえば西の魚でした。それが、北海道や東北でも恒常的に漁獲されるようになり、近年漁獲量が増えています。ブリ養殖は昭和初期に始まり1970年代後半に15万トンを超え最盛期を迎えました。その後はやや減少していますが、現在では14万トン前後で安定しています。
さて、この時期のブリといえば何といっても「氷見の寒ブリ」でしょうか!例年今の季節がやってくるとメディアでも取りあげられてもいますし、抜群のブランド力を持っています。
昨年は近年では非常に多く水揚げされたのですが、今年は来遊が遅れているらしく、まだ「ひみ寒ぶり宣言」が出されていないようです。
新年を迎えるにあたって、西日本のお正月には欠かせないものが「塩ブリ」です。越中富山で水揚げ・加工された「塩ブリ」は昔は荷車に乗せられ、信州(長野)や飛騨(岐阜)地方に運ばれました。このルートが「ブリ街道」と呼ばれました。福井から京都へ向かう「さば街道」と似ていますね。
今年最後のかわら版になりますが、この号が皆さんのお手元に届く頃には「氷見の寒ブリ」の来遊の朗報が届きますように!
旬のお魚かわら版
「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!