旬のお魚かわら版

No.21 タチウオ

2021.07.21

旬のお魚かわら版 No.20(2021年7月15日)


今回は、夏の魚の代表的な一つ「タチウオ」についてです。
 タチウオは下図のように極めて特徴的な形をしているので、誰でも見分けが付きやすい魚の一つともいえます。

タチウオ
出典:ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑

 画像でも分かるように、銀白色に輝いており、鱗はなく、背びれが長く続いています。
腹びれと尾びれはなく、尻びれは隠れて見えません。

 細長くスマートな魚体で、成長すると全長は1mを超えます。
そうした姿格好からみると如何にも「太刀魚」という漢字がぴったりです。

 泳ぐ姿も独特のものがあり、急いでいるときは図のように水平方向に泳ぎますが、のんびりしたい時(勝手にタチウオの気持ちになっています)には、立ち泳ぎのような泳ぎ方(上図を時計回りに90度回転する)をするようです。


 タチウオは鱗がなく繊細な生き物らしく水族館でも飼育が難しいといわれ、限られた水族館でしかみられません。
タチウオは成熟が早く1歳位から産卵に加わり3歳ではすべて産卵に加わりますが
日本海・東シナ海に分布するグループ(系群)では寿命が8歳くらいといわれています。

 サイズは大小さまざまですが、大きいのは1.5m位になるそうです。想像してみてください。
 地域によっては型の小さいタチウオは、ヒモタチ、ヘボタチとも呼ばれ、またサーベルと呼んでいる地区もあります。何となくイメージがわきませんか?

タチウオ生産量の県別順位(2020年)
タチウオ生産量の県別順位(2010年)
タチウオ生産量の県別順位(2000年)
資料3点:全国漁業・養殖業生産統計年報

 さて上図は直近まで10年ごとのタチウオの県別生産量の10位までを表しています。

 2010年以前は、和歌山、愛媛、大分、長崎のように概ね西の県で多く漁獲されているのがわかります。ところが、2020年のデータでは1位に千葉県が、その他宮城、神奈川と以前にはみられなかった県が上位に入ってきています。少しずつ関東以北でも漁獲が増えていることが分かります。

 2000年ごろに発行された書籍をみるとタチウオの漁場は、瀬戸内や東シナ海が主漁場となっています。今新しい書籍を編むとすれば、主漁場については書き換えが必要になるかもしれません。


 タチウオの漁法については、底引き、釣り、定置が主流でしたが、東京湾ではまき網でも漁獲がみられています。釣り好きの人は、体験したことがあるかもしれませんが、東京湾では堤防釣りでも掛かっているようです。その意味では、従来は西の魚であったタチウオも今以上に関東周辺で食べる機会が増えると思います。

 豊洲市場でも7月に入って連日3-4トンの安定した入荷が見られています。価格も4000-800円/kg(7月13日)と開きがありますが、漁法と鮮度の違いによるものでしょう。これからも入荷はコンスタントにあるし、調理も比較的簡単なので、ぜひ味わってみてください。

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