旬のお魚かわら版

No.14 ホタルイカ

2021.03.31

旬のお魚かわら版 No.14(2021年3月31日)


 今回は赤い魚シリーズから離れていよいよ旬を迎えるホタルイカです。

 富山湾では3月1日から漁が始まりました。これから6月くらいまで富山湾では定置網による漁獲が続きます。

ホタルイカ
出典:富山県ほたるいか協会

 ホタルイカは、「富山湾の神秘」と呼ばれており、皆さんが知っての通り青白い光を出します。その理由は、外敵に対する威嚇・幻惑・仲間とのコミュニケーション・餌寄せのためなどといわれています。発光器は目の回り、腕の先端、身体の腹側にあり、皮膚側には700~1,000個の発光器があります。それが発光するわけですからその光景は名物にもなりますよね!寿命は他のスルメイカやヤリイカなどと同じく1年しかなく、短くはかない命ですね。
 ホタルイカは普段は200m以深の深い海にすんでいますが、夜間になると表層に浮上してきて産卵をします。産卵期なので丸々と太った富山湾のホタルイカというわけです。

発光中のホタルイカ
発光中のホタルイカ 出典:富山県ほたるいか協会

 ホタルイカは、夕方から夜中にかけて浮上し産卵しますが、未明には潮の満ち引きによって沖に戻れなくなったホタルイカが波打ち際にたくさん打ち上げられていることがあり、これを地元では「ホタルイカの身投げ」と呼んで春の風物詩になっています。機会があったら是非富山に足を運んでこの身投げを現地でみてください。
 ホタルイカ=富山湾のイメージが強いのですが、実は兵庫県や鳥取県などでも多く漁獲されます。漁法も富山県は定置網ですが、他の県では主に底びき網によるものが多いようです。特に兵庫県日本海側の浜坂や柴山、香住といった底びき網漁が盛んな漁港に多く水揚げされるので兵庫県が漁獲量トップの座を占めています。

漁船に水揚中のホタルイカの発光現象
漁船に水揚中のホタルイカの発光現象 出典:富山県ほたるいか協会

 さて街では既にスーパーや専門店の店頭には潤沢に並んでいます。今年は、富山湾の漁が昨年同様好調なので、4月頃まで見ることができるでしょう!因みに3月29日の豊洲市場におけるホタルイカの価格は、ボイルしたものが1枚800-700円、生(21入)500-400円、いずれも富山産です。先週後半より少し高くなっています。

 現在ホタルイカは、産地に関わらずほとんどがボイル加工した商品で流通し消費されていますが、昭和から平成に変わる前後の数年間、おそらくちょうど活魚ブームがあった頃に、一時的にホタルイカが活魚で出回ったことがあります。しかしホタルイカには内臓に有害な寄生虫(旋尾線虫)がいる場合があり、当時生食による食中毒の症例が多く出たため、それ以降生食はほとんど無くなりました。アニサキスと同じく、加熱または冷凍処理によりリスクが無くなりますので、近年ではボイル商品の他、通信販売などで冷凍の生ホタルイカ商品が増えています。ですから、安心して旬の味を楽しんでください。

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