旬のお魚かわら版

No.9 マダラ

2021.01.15

旬のお魚かわら版 No.9(2021年1月15日)


 明けましておめでとうございます。


緊急事態宣言が出され厳しい状態が続いていますが、早く終息の目途がつくことを祈って今年も瓦版をお届けします。

 今回は冬の魚といえば誰でも知っているポピュラーなマダラです。


マダラ
出典:ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
マダラの年別生産量の推移
資料:農林水産省統計部 漁業・養殖業生産統計年報

 漁獲のピークは1970年頃と昭和の末期1988年頃にあります。その後は3万トンにまで落ちましたが、現在は資源もやや上向きになっているようで、漁獲もやや待ちなおしています。この減少は、北洋漁場の喪失(母船式、北転船等)が主なもので、日本の漁業はここに依存していたともいえます。

 お正月に食べた人もいるかもしれませんが、タラバガニの命名の由来は、タラの漁場(北洋)に棲息していることに因んでいる、という説もあります。マダラは北の魚で、おおむね150m以深の海に住んでいます。ですから、国内での漁法は、底引き網で漁獲される割合が最も多く(49%)、続いて刺網、はえ縄、定置網(建網)となっています。


 「鱈腹食べる」とよく言いますが、タラは魚類、甲殻類、頭足類、貝類と獰猛に何でも食べてしまいます。食物連鎖というものの、欲張りな魚といってもよいかもしれませんね。


 今は、殆どが「切り身」の姿でしかお目にかかれませんが、半世紀前までの北国ではどの家庭でも1本ままのマダラを買い、それを料理に合わせて解体して食べたものです。白子は鍋ものに、真子(まこ)と呼ばれる卵巣は甘辛く醤油で味付けし、しらたき(またはつきこんにゃく)を入れ、それをまぶして食べました。ちなみに、一般的にタラコ(鱈子)と呼ばれているのは、マダラではなくスケトウダラの卵巣です。こうして、マダラは様々な部位が食用にされるので、見方によっては人間のほうが、貪欲かもしれません。逆にいえば、残すことなくすべてを食べつくし無駄なく利用することは、魚に対する供養にもなるかもしれません。


 消費地市場では、よくブワタラ(ブワ)という言葉を使います。最初にこの言葉を聞いた時には何のことだろうと思っていましたが、塩蔵マダラのことを指しています。塩蔵タラは、輸入物のタラ原料が主で塩蔵加工して切り身で売られています。今の季節、生鮮タラと塩タラの2種類が小売店では売っています。今度皆さん、スーパーや専門店に行ったとき観察してみてください。どちらが高いかな?

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「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!

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