旬のお魚かわら版
No.7 ハタハタ
2020.12.15旬のお魚かわら版 No.7(2020年12月15日)
今回は、旬を迎えたハタハタについて取りあげます。かなりローカルな話題になりますがお楽しみください。
皆さんは、鮮魚のハタハタを食べたことはありますか?私が高校生の頃まで住んでいた秋田県(男鹿市)では、12月になるとハタハタ漁の話題で持ち切りになります。
地元では定置網で漁獲するハタハタを「季節ハタハタ」と呼び、底びき網で漁獲する「沖合ハタハタ」と区別しています。
季節ハタハタはこの時期、産卵のために大きな卵のかたまりをお腹に抱えて沿岸に近づきますが、秋田県民はこの卵をことの外好むのです。
さて、このハタハタの卵を何と呼ぶでしょうか?「数の子、ぶりこ、いくら」この3つの中でどれでしょう?
答えは、「ぶりこ」です。ぶりこは魚卵の中でも特徴的で、食感はネバネバ、色は様々で虹色のような色合いをしています。
秋田県のハタハタは、このグラフにもあるように、1980年代半ばから漁獲が極端に少なくなりました。そして1992年から3年間の自主的全面禁漁を実施し、その後水揚げは順調に回復しました。
この時の経験は平成の資源管理の優等生というべきもので、漁業の優良事例としてさまざまな文献やメディアに取り上げられました。
ただ最近は漁獲に陰りが見えてきており、関係者は再度対策に奔走しています。
今年の季節ハタハタの来遊予測(初漁)は、12月3日だったのですがやや遅れているようで今のところまだ来遊は見られないようです。
さてハタハタは漢字では鰰と書きますが、もう一つ?という字もあります。雷が鳴るような海の荒れる季節に魚(ハタハタ)が獲れるといわれているからです。
事実私が小さかった頃に、岸からもみえる湾内で船が荒天で転覆し、漁師の貴重な命が奪われたこともありました。
また、海が荒れると砂浜には色取り取りのハタハタの卵のかたまりが打ち上げられ、それを拾って海に投げ返したものです。中には、卵の中に孵化寸前のものもあり、眼のように動く小さな生命の輝きに魅せられたこともありました。
この瓦版が届くころには、季節ハタハタのまとまった来遊の一報もあるでしょう!!
旬のお魚かわら版
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