浅蜊
あさり
2021年5月1日 掲載
潮干狩りシーズン到来。
でも、アサリは全国的に激減。
直近のアサリの県別生産量(2019年)を見て驚きました。
- 1位
- 愛知
- 2位
- 北海道
- 3位
- 福岡
「おや?」と違和感を感じるのではないでしょうか。「1位愛知はわかるけれど、北海道に福岡? アサリといえば千葉、熊本、静岡あたりなんじゃないの?」
ですよね?
全国のアサリ漁獲量は1983年の約16万㌧をピークに減少し、87年に10万㌧を切ると、94年に5万㌧、2012年に3万㌧を切り、16年にはついに1万㌧も採れなくなってしまいました。
上位3県の漁獲量を15年前と比較してみましょう。
- 1位
- 愛知
- 3,880t
- 2位
- 北海道
- 1,360t
- 3位
- 福岡
- 1,100t
- 全国合計
- 7,976t
- 1位
- 愛知
- 11,867t
- 2位
- 千葉
- 8,644t
- 3位
- 熊本
- 4,164t
- 全国合計
- 36,589t
15年で約8割減。あちこちでアサリが不漁というニュースは耳にしていましたが、ここまで全国的に激減しているとは。どおりで魚屋さんにアサリが並んでいないはずです。
産地ごとにみると、長年1位を維持している愛知ですが、04年と19年を比べると3分の1に減少。静岡は4,127㌧から872㌧と約5分の1になっています。
熊本も4,000㌧から217㌧と約20分の1にまで減産。千葉は年ごとの増減が激しいのですが、8,644㌧が、現在は65㌧。なんと133分の1です。
これは大変な事態です。
ランクインした2位の北海道は、04年1,630㌧で、ずっと横ばいでしたが、他県の生産量が激減したことで、押し上げられるように浮上した感じです。
木更津のアサリ漁師に聞いたところ、ハマグリ20個に対し、アサリは2〜3個しか採れないのだとか。1㌢に満たない小さなアサリはたくさんいるのに、大きいのがいないのだそうです。
アサリの主な減少原因については以前より、埋め立てによる干潟の減少、水質・底質の悪化、貧酸素水塊などが挙げられていました。また近年では、採りすぎ、ナルトビエイやヒトデ、ウミグモなどによる食害、貧栄養による餌不足などの要因も指摘されています。
それでもここまで減少してしまったということは、有効な対策が打てなかったということなのでしょうか。
漁師や水産関係者も手をこまねいていたわけではありません。全国のアサリ産地では、長年にわたりアサリ資源の回復のため様々な取り組みを行っています。
例えば、漁獲制限(出漁日数や一日あたりの漁獲量などに上限を設定)や禁漁区の設置、エイやツメタガイなどの外敵駆除、漁場環境の改善、増養殖技術の開発など、その内容は産地の状況に応じて多岐にわたります。
しかし、こうした努力にもかかわらず、多くの産地でアサリは減り続けています。資源の回復はまだ道半ばのようです。
国内生産量が減少したことで、1980年代後半からアサリの輸入が本格的に始まり、2019年には約3万6000㌧のアサリが中国・韓国から輸入されています。それら輸入アサリの出荷や食品製造では、「中国産」や「韓国産」などの原産地表示が必要です。
一方、輸入アサリを国内の海に撒き、長期間蓄養をした場合は制度上、国産表示が可能です。スーパーなどで売られる生鮮アサリはほとんどが「国産」ですが、上記のように元は輸入アサリという場合があるのです。潮干狩り場で採れるアサリも同様です。
それにしても、全国でアサリがここまで減ってしまっていること、もう少し話題になってもいいと思うんですけどね?
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