旬のお魚かわら版
No.8 ババガレイ
2020.12.28旬のお魚かわら版 No.8(2020年12月28日)
今回は、一部の地域で年取り魚として愛されているカレイについて取りあげます。カレイ類は種類がとても多いです。普段皆さんが目にするカレイは10種類くらいでしょうか!数えてみてください。どれくらい知っているかな?
今回ご紹介するのは、ババガレイです。表面が粘液でぬるぬるしているカレイです。
そうした特徴から名前の由来も、少し書きにくいのですが「外見が薄汚れていて、皮がぶよぶよしているところが、年老いた肥った老婆に見える」ことから来ていると言われています。青森県では「母がれい」と書いて「ばばがれい」と読ませるそうです。地域によっては「ナメタガレイ(滑多鰈)」、「アブクガレイ」とも呼ばれますが、いずれも、ぬるぬるした印象を持つ呼び方ですね。表は写真のような色をしていますが、裏は真っ白で好対照です。
上のグラフは岩手県におけるババガレイの年別水揚げ量です。周期的な変動があるのか、明瞭ではありませんが、2000年の前半と2015年頃に漁獲のピークがみられます。そのピークを過ぎ、近年やや右肩下がりになっているのが気がかりです。ただ、資源状況の正確な把握は公表されていないので、正確なところは不明です。
今回何故ババガレイを取りあげたかというと、数週間前に近所の小さな「スーパー」で偶然大きなババガレイを見つけたからです。丸のババガレイを買ったのは初めてでしたが、あまり普通のスーパーでは売っていなかったような気がします。その後2回ほど食品スーパーで切り身が売っていましたので、今年は流通量が多いのかもしれません。
ババガレイは三陸地方では、年末から正月にかけては無くてはならない魚です。つまり旬真っ只中ということです。ですから、そうした地方ではこれから価格は高騰します。それほど地域によっては価値があり、需要が高い魚なのです。
この魚は煮つけが最もポピュラーですが、煮つけを作る家庭が少なくなっているため知名度が低いともいわれています。まだ、近くのスーパー等では売っているかもしれませんので、チャレンジしてみてもよいかもしれませんね。
私が東日本大震災後に気仙沼で何回か宿泊した宿では、夜は必ずババガレイを出してくれました。もちろん煮つけですが、汁におそらく片栗粉が入れてあり、餡のように少し固めでした。冷めにくいので少し時間が経っても暖かく美味しく食べることができます。
ということで、短い期間でしたが今年最後の瓦版です。みなさま、よいお年をおすごしくださいね!
旬のお魚かわら版
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