旬のお魚かわら版

No.50 サンマ

2022.10.18

旬のお魚かわら版 No.50(2022年9月30日)


 50回目の記念となる今号は、本来であれば今が食べ頃となる「サンマ」です。
 先月あたりからスーパー等の小売店でも新サンマが出始めていますが、筆者がみた限りではサイズが小さく細い魚体である場合が多いです。まるで大きな「サヨリ」のようです。 長年サンマをみてきましたが、初漁期から9月までこんなに小さなサイズが多い年は今まで記憶にありません。

サンマ
出典:全国さんま棒受網漁業協同組合

 サンマの寿命は2年程です。1年で27-28cmまで成長するといわれて、2年目は5-6cm程度しか大きくなりません。
 今主に漁獲されている魚は1年魚でも比較的成長途上の魚か同じ1年魚でも沖合寄りの餌が少ない海域で育っているサンマとみられます。ただ、このところ北海道沖で漁獲される他の青魚(マイワシやサバ)でも、全体的にサイズが小さいのが特徴です。サンマに限らず、回遊海域で餌が不足しているということも考えられます。

さんまの回遊ルートと主な漁港
出典:全国さんま棒受網漁業協同組合

 上図は、かつて沢山獲れた時代の標準的な回遊ルートです。今年の8月、9月は、この図に描かれているような形ではサンマが来遊しておらず、さらに沖合の海域に魚群(漁場)が形成されているようです。
 一般的には親潮が北の海から列島沿いに南下してくる沿岸・近海域の方が東沖合に比べると餌は豊富です。ですので、魚にとっては沖合で長く住めば住むほど餌不足になっているのでは、と思います。

近年のサンマ水揚量と価格の月別推移
資料:おさかな広場

 上の表は近年のサンマの月別水揚量と価格の推移です。過去3年急激に漁獲が落ち続けていて、昨年は過去最低の漁獲でした。今年も今のところ漁獲は振るわず、初水揚げがあった7月は、御祝儀相場もあって表のような高値となりました。
 しかし、8月に入ってからは痩せた華奢なサンマということもあり価格の下落が続いていました。表にはありませんが、ようやく9月下旬頃から、漁も上向きしかも魚体も太ってきたこともあり、価格も反転上昇しています。


 明日から10月に入り、皆さんも丸々と太ったサンマの塩焼きが恋しくなってきていると思います。何回か通過している台風により海の状況が変化することで漁況も好転し、かつ漁場がより近海寄りになることを願って今回はこの辺で!

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「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!

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