旬のお魚かわら版

No.30 メカジキ

2022.04.7

旬のお魚かわら版 No.30(2021年11月30日)


 今回は、国内では気仙沼が水揚げ日本一を続けている「メカジキ」についてです。
 メカジキは今が旬の真っ最中に当たっています。しばしば、カジキ類は「カジキマグロ」と呼ばれたり表示されたりしてマグロの仲間として扱われることがあります。しかし厳密に言うと、例えばクロマグロはスズキ目サバ科マグロ属に分類される一方、メカジキはスズキ目メカジキ科メカジキ属で、分類上ではマグロ類とは科から異なる、かなり離れた魚です。英語名はswordfishで、直訳すると「剣魚」。他の言語でも刀剣を意味する字があてられています。

メカジキ
出典:気仙沼魚市場

 メカジキは世界の暖かい海に住んでおり、水温変化(5~27℃)に強く広い温度帯に適応しています。また上下移動も激しく、深海にも移動したりします。
 形もどうですか?吻と呼ばれるくちばし(鼻先)があり、餌をとるのに非常に都合がよい(刺すというよりもなぎ倒すイメージ)のだそうです。寿命は15年以上とされており3歳で成熟します。時速100㎞で泳ぎ、速く泳ぐ魚とされているクロマグロ(時速80㎞)やカツオ(同60㎞)よりも速いのです。

 因みに気仙沼では、大目流し網で400kg物が掛かったことがあります。

メカジキの年別生産量の推移
資料:農林水産省漁業・養殖業生産統計年報

 メカジキは延縄船で漁獲されることが多いのですが、年々漁獲は減少傾向にあります。一時は2万トンを超える漁獲がありましたが、現在では5千トン程度で今年はそれを下回る漁獲に終わりそうです。
 メカジキは、皆さんも良くスーパーなどで見かける機会が多いと思いますが、周年出回っていて、冷凍の切り身で売っていることが多いのですが、それは概ね台湾船が漁獲した輸入物です。国内の漁獲量が減少傾向が続いている一方で消費需要が根強いため、輸入も多いです。
 鮮度が良いメカジキの身色は薄いピンク色がかっていて、刺身にすると非常に美味しく感じます。それ以外でも煮ても焼いても揚げてもと、何をしても美味しい万能型の魚です。

メカジキとクジラの戦い
出典:ワシントン大学図書館デジタルコレクション

 背びれの付け根部分の肉はその形状からハーモニカと呼ばれ、ゼラチン質が多く貴重な部位で珍重されています。
 ちなみに、豊海おさかなミュージアムの下の階(1階)に入店するお寿司屋さんのランチでマグロ煮付定食があります。その定食には運が良ければマグロのハーモニカの部分が供されることがあります。メカジキほどは大きくはありませんが、よく見るとハーモニカに似た部位も煮汁と一緒に出てきます。こういう時は、ついつい「メカジキのハーモニカ」を連想させ、メカジキを食べているような錯覚に陥るときがあります。機会があったら是非一度食べてみてください。

 上図は、メカジキとクジラの戦いを描いた1800年代後半の古い絵です。クジラにメカジキが吻を武器に挑んでいる姿です。また、おさかなミュージアムの図書コーナーでは『どっちが強い!? サメvsメカジキ』という題の学習漫画を置いているのですが、子供たちにとても人気があります。時代や国を超えて様々なジャンルで強さを比較・強調したものは人気があるということでしょうか!

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「豊海おさかなミュージアム」は、海・魚・水産・食をテーマとして、それに関連する様々な情報を発信することを目的としています。 このブログでは、名誉館長の石井が、旬のおさかな情報を月2回発信していきます!